(論文・日本語)美術史記述の拡張
台湾の国立嘉義大学の論文公募に応募し、合格した論文の「日本語版」です。2025年5月14日に開かれた「2025視覺藝術新視野學術研討會 」で、藤田千彩(無所属、独立研究者)は台湾華語で発表しました(原文タイトルは「藝術史記述的擴展:從丁昶文藝術作品和鑑賞體驗的考察」です)。
美術史記述の拡張
藤田 千彩(無所属、独立研究者)
概要
21世紀に入り四半世紀が過ぎた今日、現代美術は「無国籍料理」あるいは「多国籍料理」と呼べるほど、アーティストの活動領域や作品テーマは従来の国境や文化の枠を超えて広がり続けています。しかし、既存の美術史研究は、国や地域で区切る従来の枠組みにとらわれ、このような多様なアートの全体像を捉えきれていません。
特に、台湾のアーティストである丁昶文(1979年台湾高雄生まれ、台南在住)は、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカなど世界中で活動し、その作品テーマは民族、地域、素材といった多文化的な領域を頻繁に横断しています。このような活動を行うアーティストはもはや珍しくありませんが、既存の美術史の枠組みでは彼らの実践を効果的に捉え、作品を適切な歴史的文脈に位置づけることが…
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